
行政書士の独立開業、最初から立派なホームページは必要か?
いよいよ行政書士として独立開業の準備を進めているあなたへ。開業準備を進める中で、頭を悩ませる大きな壁の一つが「ホームページをどうするか」という問題ではないでしょうか。
開業資金には限りがあります。
行政書士会の登録費用や入会金、職印の作成、名刺、パソコン、プリンターなどの事務用品を揃えるだけでも、あっという間に数十万円のお金が飛んでいきます。
さらに、事務所を借りるとなれば敷金や礼金も必要です。
そんな中、ホームページ制作会社に見積もりを依頼すると「最低でも30万円、しっかりしたものを作れば100万円」と言われ、絶望的な気持ちになった経験は、多くの開業予定者が通る道です。
ここで、この記事における私の立ち位置を先にお伝えしておきます。もしあなたの開業資金に余裕があるのであれば、最初からレンタルサーバーを借りて「WordPress(ワードプレス)」でしっかりとしたホームページを作成することを、一番にお勧めします。
実際、私自身も開業当初からワードプレスを使用して自事務所のホームページを構築しました。長期的なSEO対策やデザインの自由度、そして何より「本気で集客する」という覚悟を示す上で、ワードプレスに軍配が上がるからです。
しかし、「どうしても初期費用を抑えたい」「今はまだメインの業務内容が固まっていないから、大きな投資をするのは怖い」という方もたくさんいらっしゃるでしょう。
開業直後の見通しが立たない段階で、数十万円を投資して固定費を増やすことが経営上あまりにもリスクが高いと感じるのであれば、まずは「無料」で作れるホームページから始めるのも一つの立派な手です。
そこで今回は、資金に余裕がなくても、まずはネット上に自分の看板を持てる選択肢として、Googleが提供している無料サービス「Googleサイト」を活用し、費用ゼロでホームページを作る方法を解説していきます。
この記事を最後まで読めば、無駄な経費を使うことなく、自信を持ってネット上に自分の看板を掲げるための手順が分かります。
なぜ行政書士の開業に「ホームページ」が絶対に必要なのか
ワードプレスであれ無料サイトであれ、「そもそもホームページなんて本当に必要なの?名刺だけで営業すればいいのでは?」
と考える方もいるかもしれません
。しかし、現代の行政書士実務において、ホームページは「絶対」に必要です。
それは単なる自己満足ではなく、お客様の心理に深く関わっているからです。
名刺交換の「その後」を想像してみてください
異業種交流会や地域の集まりに参加して、意気揚々と名刺交換をしたとしましょう。
相手は「へえ、行政書士さんなんですね。
何かあったら相談しますよ」と言ってくれます。
しかし、数日後、その方が実際に許認可や相続の手続きで困ったとき、まず何をするでしょうか。
必ずと言っていいほど、あなたの名前や事務所名をスマートフォンで検索します。
その際、もしあなたの事務所のホームページが存在しなかったらどうなるでしょう。
「この先生、本当に実在するのかな?」
「ちゃんとした事務所なのかな?」
と、一瞬で不安を抱かせてしまいます。
そして、そのまま検索結果に出てきた別の行政書士事務所の立派なホームページをクリックし、そちらに依頼してしまうのです。
ホームページは、あなたの「存在証明」であり、24時間365日休まず働いてくれる「営業マン」です。
最初は簡素なものであっても、「存在している」ことが何よりも重要なのです。
お客様の不安を拭い、信頼を構築する最初のステップ
行政書士に依頼されるお客様は、何かしらの大きな悩みや人生の転機を抱えています。
建設業許可を取って事業を拡大したい社長さん、遺産分割協議で親族と揉めたくないご遺族、日本で働きたいと願う外国人の方など。彼らは皆、不安な気持ちでいっぱいです。
そんな不安を抱えたお客様がホームページを見たとき、そこにあなたの顔写真があり、誠実なメッセージが書かれていれば、どれほど安心するでしょうか。
「この人なら、私の悩みを解決してくれそうだな」と感じてもらうことが、依頼に繋がる第一歩です。
だからこそ、あなたの言葉で語るホームページが必要なのです。
資金ゼロで始める!Googleサイトの圧倒的なメリットと隠れたデメリット
では、なぜ数ある無料ホームページ作成ツールの中で、「Googleサイト」を一つの手として提案するのでしょうか。
ここでは、Googleサイトのメリットと、ワードプレスと比較した際のデメリットを包み隠さずお伝えします。
メリット1:維持費を含めて完全に「無料」であること
これが最大のメリットです。
ワードプレスを使って本格的なサイトを作るなら、サーバー代(月額1000円程度)やドメイン代(年額数千円)といった維持費が必ずかかります。
しかし、Googleサイトを使えば、作成費用はもちろん、維持費も一切かかりません。
開業当初の「固定費をできるだけ抑えたい」という切実な願いを叶えてくれます。
経費を削減できた分のお金は、実務書を購入したり、専門的な研修に参加したりと、自分自身のスキルアップに投資することができます。
メリット2:専門知識がなくても直感的に操作できる
HTMLやCSSといったプログラミングの知識は一切不要です。
Googleアカウントさえあれば、今すぐにでも始められます。
画面上のパーツ(テキストボックスや画像)をドラッグ&ドロップするだけで、パズルを組み立てるようにホームページが完成していきます。
ITの専門知識がなくても、週末の数時間を確保するだけで、ある程度見られる形に仕上げることができます。
デメリット1:ページ数や容量に制限がある
もちろん、無料であるがゆえのデメリットもあります。
GoogleサイトはGoogleドライブの容量(無料版は15GB)を使用するため、無制限にページを増やしたり、大容量の動画をバンバン載せたりすることには向いていません。
とはいえ、開業当初の行政書士事務所のホームページとして、「トップページ」「プロフィール」「業務案内」「報酬額」「お問い合わせ」の5〜10ページ程度を作成する分には、すぐに容量を気にする必要はありません。
デメリット2:SEO(検索エンジン最適化)の柔軟性に欠ける
ここが、私がワードプレスを一番にお勧めする最大の理由です。
たくさんの人に読んでもらうために、検索結果の上位に表示させる施策(SEO)を本格的に行いたい場合、Googleサイトはワードプレスに比べて機能が大きく制限されています。
細かなタグの設定などができないため、全国規模で激しい検索競争を勝ち抜くような集客メディアを作るのには不向きです。
しかし、開業直後は全国から依頼を集めるよりも、あなたの事務所がある「地域名+行政書士」で検索されたときに見つけてもらうこと(地域密着型の集客)が重要です。
その用途であれば、後述する「Googleビジネスプロフィール」との連携でカバーしていく戦略が取れます。
Googleサイトで作る!行政書士向けホームページ構築の5ステップ
ここからは、初期費用を抑えるためにGoogleサイトを選択した方へ向けて、実際にホームページを作成していく具体的な手順を解説します。
ステップ1:ビジネス用のGoogleアカウントを作成する
まずは、事務所専用のGoogleアカウントを作成します。
プライベートで使っているアカウントと混同しないよう、必ずビジネス用の新しいアカウント(Gmailアドレス)を取得してください。
このアドレスは、お客様とのお問い合わせのやり取りにも使用することになります。
「○○-office@gmail.com」のように、事務所名を入れた分かりやすいアドレスにすることをおすすめします。
ステップ2:Googleビジネスプロフィール(旧マイビジネス)を設定する
ホームページを作る前に、絶対にやっておきたいのが「Googleビジネスプロフィール」への登録です。
これは、GoogleマップやGoogle検索の結果に、あなたの事務所の情報を表示させるための無料サービスです。
「地域名 行政書士」と検索したときに、地図と一緒に出てくる事務所一覧を見たことがあると思います。
あそこに自分の事務所を表示させるための設定です。
ホームページを持っていなくても登録できるので、まずは事務所名、住所、電話番号、営業時間などを正確に入力しましょう。
のちほど、作成したホームページのURLをここに紐付けることで、集客ツールへと変貌します。
ステップ3:Googleサイトでページを作成し、デザインを整える
いよいよホームページ本体の作成です。
Googleアカウントにログインした状態で「Googleサイト」にアクセスし、「新しいサイトを作成」をクリックします。
右側に「挿入」「テーマ」「ページ」というメニューがあります。「テーマ」から好みのデザインを選び、タイトルを入力します。
画像は、無料のフリー素材サイト(写真ACやO-DANなど)で、清潔感のあるビジネスマンの画像や、握手をしている画像などをダウンロードして配置すると、グッとそれらしくなります。
最初は「完璧なもの」を目指すのではなく、「名刺代わりの看板」を作るつもりで、必要な情報をシンプルに配置していきましょう。
ステップ4:Googleフォームで「お問い合わせ窓口」を設置する
ホームページを作っただけでは、お客様から連絡をもらうことができません。
電話番号の記載はもちろん必須ですが、心理的ハードルを下げるために「メールでのお問い合わせフォーム」を必ず設置しましょう。
これもGoogleの無料ツールである「Googleフォーム」を使えば、5分で作成できます。
「お名前」「メールアドレス」「電話番号」「お問い合わせ内容」というシンプルな項目を作成し、Googleサイトの「挿入」メニューからそのフォームを埋め込むだけです。
お客様がフォームから送信すると、ステップ1で作成したGmailに通知が届くようになります。
ステップ5:URLを設定して「公開」ボタンを押す!
内容が整ったら、画面右上の「公開」ボタンをクリックします。
ここで、あなたのホームページのURL(ウェブアドレス)を決定します。
「https://www.google.com/search?q=https://sites.google.com/view/○○○○○○○○」という形式になります。
○○○○○○○○の部分は好きな文字列を入力できますので、事務所名など分かりやすい英数字を設定してください(例:yamada-gyousho)。
これで、あなたのホームページが世界中に公開されました。
もし、Googleサイトを使いながらもオリジナルドメイン(○○https://www.google.com/search?q=-office.comのような独自のURL)を使いたい場合は、別途使用料を支払ってドメインを契約する必要があります。
行政書士のホームページに「絶対に載せるべき」5つの必須コンテンツ
ホームページの箱はできましたが、中身がスッカラカンでは意味がありません。
ツールがワードプレスであれGoogleサイトであれ、行政書士のホームページにおいてお客様が本当に知りたい情報は以下の5つです。
1. 魂を込めた「プロフィールと顔写真」
行政書士の仕事は「人」対「人」です。
お客様は「どんな人が私の相談に乗ってくれるのだろう」と不安に思っています。
必ず、笑顔の顔写真を掲載してください。
そして、プロフィールには単なる経歴だけでなく、
「なぜ行政書士になったのか」
「お客様に対してどういう思いで仕事に取り組んでいるのか」
というあなたの理念を熱く語ってください。
このプロフィール文こそが、他の事務所との最大の差別化になります。
2. 専門用語を排除した「業務案内」
「建設業許可申請」「宅建業免許申請」「遺言書作成」など、自分が対応できる業務を箇条書きにするだけでは不十分です。
お客様は専門用語を知りません。
「500万円以上の工事を請け負いたい方へ」
「親が亡くなって、預金の引き出しができずにお困りの方へ」
といったように、お客様の「悩みベース」で業務を案内してください。
自分が誰のどんな悩みを解決できる専門家なのかを、分かりやすい言葉で伝える努力が求められます。
3. 不安を解消する「報酬額の目安」
「相談したらいくら請求されるか分からない」という恐怖は、お客様が問い合わせをためらう最大の理由です。
正確な金額を提示するのは難しくても、「建設業許可(知事・一般):〇〇万円〜」といった最低料金の目安だけでも必ず明記してください。
また、「初回相談は無料です」「事前にお見積もりを提示し、ご納得いただいてから業務に着手します」という一文を添えるだけで、お客様の心理的ハードルは劇的に下がります。
4. 迷わせないための「事務所概要・アクセス」
事務所の名称、代表者名、住所、電話番号、営業時間、定休日を正確に記載します。特にお客様が来所されることを想定して、「駐車場〇台完備」や「〇〇駅から徒歩〇分」といった情報を添えると親切です。
Googleマップを埋め込む機能も必ず活用しましょう。
5. いつでも連絡できる「お問い合わせページ」
先ほど作成したGoogleフォームなどを配置したページです。
各業務案内のページの最後にも、「ご相談はこちらから」というボタンを設置し、常にお問い合わせページへ誘導する導線を作ることが重要です。
実務のやりがい:初めてホームページから依頼が来た日のこと
私自身、ワードプレスで自分のホームページを立ち上げたばかりの頃は、名刺配りやご挨拶回りをしてもうまく成果が出ず、焦りと不安で眠れない日々が続いていました。
そんな中、自分で四苦八苦して作ったホームページを毎日のように眺めては、少しでもお客様に思いが伝わるよう、文章を何度も書き直していました。
ある日の夕方、事務所の電話が鳴りました。
「あ、あの、ホームページを見たんですが…建設業の許可について相談したくて…」という、少し緊張した社長さんの声でした。
その瞬間、心臓が飛び跳ねるほど嬉しかったことを今でも鮮明に覚えています。
私が一生懸命考えたメッセージが、ネットの海を越えて、一人の経営者の心に届いたのです。
そのままお会いして無事に業務を受任し、数ヶ月後に無事許可証を社長にお渡ししたとき、「先生に頼んで本当に良かった。
ホームページ見つけて良かったよ」と言われたときの感動は、行政書士という仕事を選んで本当に良かったと心の底から思えた瞬間でした。
あなたが心を込めて作ったホームページも、いつか必ず誰かの助けになります。
だからこそ、まずは世に出すことが大切なのです。
集客を加速させる!ビジネスプロフィールとアクセス解析の設定
ホームページを公開したら、次はお客様に見つけてもらうための工夫が必要です。
Googleビジネスプロフィールとの連携で地域No.1を目指す
ステップ2で登録したGoogleビジネスプロフィールを開き、プロフィールの編集画面から「ウェブサイト」の項目に、作成したホームページのURLを貼り付けてください。
これにより、一般ユーザーが「あなたの地域 行政書士」で検索した際、地図情報とともに「ウェブサイト」というボタンが表示されるようになります。地域密着型のビジネスである行政書士にとって、このMEO(マップ検索エンジン最適化)対策は非常に重要です。
Googleサイトで作成したホームページのサーチコンソール導入方法

Googleサイトで作成したホームページにも、Googleサーチコンソールを導入してアクセス解析を行うことができます。
所有権の確認方法がワードプレスで作成したホームページなどと違います。
手順としては
①アナティリクスのアカウント(ストリーム)を作成
②測定IDをコピー
③Googleサイトで作成したホームページに測定IDを登録
④サーチコンソールにURLを登録
という流れになります。
①アナティリクスのアカウント(ストリーム)を作成
まず最初にアナティリクスを開き、Googleアカウントでログインします。
必要事項を入力していくと、ホームページのアカウントが作成されます。
名称などは自分が把握しやすいもので入力するといいでしょう。
ホーム画面を開いて、左下の設定をクリックし、データストリームをクリックします。

②測定IDをコピー
次に登録したいサイトをクリックすると、IDなどが表示されますので、一番右の測定IDをコピーしましょう。

③Googleサイトで作成したホームページに測定IDを登録
測定IDを取得できたら、Googleサイトで作成したホームページの編集画面に進み、編集画面上部の設定をクリックします。

アナティリクスをクリックします。

GoogleアナティリクスのトラッキングIDを・・・の部分に先ほどコピーした測定ID(Gから始まる数字)を貼り付けます。

これでGoogleサイトで作成したホームページのアナティリクス登録が完了しました。
④サーチコンソールにURLを登録
サーチコンソールに進み、Googleサイトで作成したホームページのURLをURLプレフィックスへ貼り付けます。
Googleサイトで作成したホームページのURLは公開右の公開オプション→公開設定から確認できます。
https://sites.google.com/view/○○○○○○○○○○○○
といった部分です。
実際にホームページを開いてコピーでも大丈夫です。

これでサーチコンソールの導入が完了です。
通常は所有権の確認にいくつかの作業が必要になりますが、この方法で登録した場合は、アナティリクスアカウントと同期されて自動的に所有権の確認がされます。
以上の手順で、Googleサイトを活用してホームページを手軽に作成し、アクセス解析まで行うことができます。
無料ホームページからステップアップするタイミング
ここまで、初期費用を抑える手段としてGoogleサイトでの作り方を解説してきましたが、冒頭でお伝えした通り、私が一番にお勧めするのは「ワードプレス」でのサイト運用です。
もしあなたがGoogleサイトからスタートした場合でも、事業が軌道に乗ってきたり、売上が安定してきたりした段階で、無料の限界を感じる日が必ずやってきます。
「行政書士としての専門知識をブログ記事として継続的に発信し、特定の許認可の相談を全国から集めたい」と考えるようになったとき、GoogleサイトではSEOの観点から力不足になります。
その時が来たら、迷わずレンタルサーバーを契約し、ワードプレスを使った本格的なサイトへ移行(ステップアップ)してください。
まずは無料のツールで「情報発信の基礎」と「お客様からの反応を得る感覚」を養い、資金ができてから本格的な投資を行う。
これも、一つの堅実な経営スタイルと言えます。
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参考ホームページ作成の基本ステップ【初心者向け完全ガイド】
行政書士として独立開業したとき、まず必要となるのが集客のためのホームページです。 しかし「パソコンは苦手」「専門用語がわからない」「作り方が見当もつかない」と悩む方は少なくありません。 安心してくださ ...
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まとめ:行政書士としての第一歩を踏み出そう
資金に余裕があればワードプレスがベストですが、どうしても初期費用をかけられない場合は、Googleサイトを使えば十分に実用的なホームページを作れることがお分かりいただけたと思います。
重要なのは以下のポイントです。
- 資金に余裕があればワードプレスを推奨するが、無理な場合はGoogleサイトも一つの手。
- 専門知識がなくても、パズル感覚でホームページは自作できる。
- プロフィールには熱い思いを込め、お客様の不安を取り除くコンテンツを作る。
- Googleビジネスプロフィールと連携させ、地域検索での露出を増やす。
行政書士の資格は、あなたの人生を変える強力な武器です。
しかし、その武器は「私がここにいます!こんなことでお役に立てます!」と世の中に発信しなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。
ホームページ作りは、あなたの事務所の理念を形にする初めての作業です。
パソコンに向かって文章を考える時間は、そのまま「自分がどんな行政書士になりたいのか」を見つめ直す時間でもあります。
どうか、資金の壁やITへの苦手意識で立ち止まらないでください。最初から完璧を目指さなくても大丈夫です。
あなたの熱い思いが詰まったホームページを通じて、一人でも多くのお客様の悩みが解決される日を、同じ実務家として心から応援しています。
まずは一歩、行動を起こしましょう!