
もし私が今、苦労して手に入れた「行政書士」の資格だけを持っている状態で、独立開業に向けて次の資格取得を目指すとしたら、一体何を選ぶでしょうか。
試験を突破してほっとしたのも束の間、「果たしてこの資格一つで、お客様から仕事をもらい、生活していけるのだろうか?」という不安がよぎるお気持ちは、とてもよくわかります。実務経験がない状態であればなおさら、名刺に書ける強力な肩書きをもう一つ増やして、少しでも安心感を得たくなるのは自然な感情です。
私自身も、開業をリアルに意識し始めた頃、「行政書士 ダブルライセンス」といった言葉を何度も検索しては、どの資格が一番有利になるのかと思い悩んでいました。不安な夜を過ごすくらいなら、新しいテキストを買ってきて机に向かっている方が、前に進んでいる実感があって心が落ち着くからです。
しかし、行政書士の業務範囲は数千種類とも言われるほど広く、他の士業の領域とパズルのピースのように隣り合っています。そのため、自分の専門分野を深めたり、提供できるサービスの幅を広げたりするための「武器」として、別の資格を検討することは、経営を安定させる上でとても有効な戦略になります。ただ、やみくもに資格マニアになってしまうと、いつまで経っても本業での売上が立たないというジレンマに陥りかねません。
そこで今回は、単なる資格の解説やカタログ的な紹介ではなく、「もし私が今、行政書士の資格だけを持っていて、これから開業の準備をする立場なら、どの資格をどう評価し、どれを選ぶか」というシミュレーション形式で、相性が良いとされる資格を一つ一つ検証していきたいと思います。
どの資格にどれくらいの時間と労力がかかり、それが実際の業務でどう活きるのか。そして、限られた時間と資金をどこに投資すべきなのか。等身大の視点で考えてみます。
行政書士と相性の良い資格を徹底シミュレーション
それでは、よく行政書士とのダブルライセンスとして名前が挙がる資格について、もし私がこれから取得を目指すならという視点で検証していきます。それぞれの資格が持つ法的な立ち位置や、実務現場でのリアルな使われ方に焦点を当てていきます。
1. 簿記(2級・3級)- もし自分なら、間違いなく真っ先に手を出します
「国家資格のダブルライセンスを考えていたのに、いきなり簿記?」と拍子抜けされたかもしれません。しかし、もし私が今、行政書士資格しかない状態で開業の準備をするなら、最も優先順位が高く、一番手っ取り早く勉強を始めるのは間違いなく「簿記」です。
なぜなら、法人のお客様を相手に仕事をする場合、決算書(財務諸表)が読めないというのは、目隠しをして歩くようなものだからです。法律の知識と同じくらい、いや、それ以上に「数字の知識」が現場では求められます。
建設業許可などで痛感する「決算書が読めない」恐怖
例えば、行政書士の代表的かつ収益の柱となる業務「建設業許可」。この申請手続きの中で、非常に重く、そして腕が試される作業が「財務諸表の作成(組み替え)」です。
会社が税務署に出している税務申告用の決算書を、そのまま役所に提出することはできません。建設業法で定められた独自のルールに従って、勘定科目を振り分けていく必要があります。
この時、簿記の知識が全くないと、「完成工事未収入金」や「未成工事支出金」「工事未払金」といった独特の科目の意味がわからず、税理士さんが作った決算書の「売掛金」や「仕掛品」の数字をどう扱っていいか、完全に手が止まってしまいます。
兼業事業(例えば不動産業と建設業の両方をやっている会社など)を行っている場合は、売上と原価を綺麗に分離しなければなりません。貸借対照表(B/S)の左右の数字が合わない、損益計算書(P/L)の利益と辻褄が合わない、とパニックになりながらエクセルとにらめっこするのは避けたいところです。簿記の知識があれば、このパズルを解くようにスムーズに作業を進めることができます。
会社設立や補助金業務でも必須の知識
また、会社設立のサポートをする際も、資本金の額の相談や設立初年度の事業計画を立てる場面で、財務の基礎知識が求められます。
近年、行政書士の業務として非常にニーズが高まっている補助金の申請(小規模事業者持続化補助金や事業再構築補助金など)においても、会社の現在の財務状況を貸借対照表や損益計算書から正確に分析し、審査員を納得させる説得力のある事業計画書を書かなければなりません。数字の裏付けのない計画書は、すぐに見破られてしまいます。
自分自身の「確定申告」でも最も役立つ知識
そして何より、簿記の知識は他人のためだけでなく、自分自身の事務所経営において最も直接的に役立つ知識です。
独立開業すれば、個人事業主として毎年の「確定申告」は避けて通れません。特に開業初期は税理士に依頼する資金的な余裕がなく、自分で会計ソフトを使って日々の帳簿をつける(青色申告を行う)ケースがほとんどです。この時、簿記の基礎知識(仕訳のルールや減価償却の考え方など)があれば、経理作業で迷うことが激減し、スムーズに青色申告特別控除(最大65万円)を受けることができます。他人の手続きを手伝う前に、まずは自分自身の事業のお金をしっかり管理するためにも、簿記は必須のスキルと言えます。
ネット試験で「ほぼ毎日」受験可能という圧倒的な機動力
さらに実務的かつ戦略的なメリットをお伝えすると、現在の日商簿記検定(2級・3級)は「ネット試験(CBT方式)」が導入されており、全国のテストセンターでほぼ毎日受験が可能です。
「年に1回、この日しかない」という強烈なプレッシャーの中で何年も勉強を続ける他の国家資格とは異なり、「あ、自分には数字の知識が足りないな」と気づいたその日からすぐに勉強を始め、自分のペースでいつでも試験に挑戦できます。思い立ったらすぐに行動に移せるこの機動力の高さは、時間がいくらあっても足りない開業準備中の身にとっては、非常にありがたいポイントです。
国家資格に向けて何千時間も費やす前に、まずは日商簿記3級を勉強し、決算書や帳簿へのアレルギーをなくすことから始めます。もし余力があれば、工業簿記(原価計算)が含まれる2級まで進められれば、建設業の複雑な「完成工事原価報告書」の作成でも自信を持って対応できるはずです。
2. 宅地建物取引士(宅建士)- 不動産分野を攻めるなら非常に魅力的です
もし私が、土地や建物に関わる業務を中心に事務所を展開したいと考えているなら、宅地建物取引士(宅建士)は非常に魅力的な選択肢になります。行政書士試験の勉強と並行して取得される方も多い、まさに相性抜群の資格です。
農地転用や開発許可での大きなアドバンテージ
行政書士の仕事には、「農地に家を建てたい(農地転用)」や「一定の規模以上の土地を開発したい(開発許可)」といった、不動産が密接に絡む許認可がたくさんあります。
こうした業務では、単に申請書を書くだけではなく、事前の「役所調査」が命になります。「その土地の用途地域はどうなっているか」「接道義務(建物を建てるための道路との関係)は満たしているか」「都市計画法や農地法の網はどう被っているか」といった、不動産に関する法律の知識が不可欠です。
宅建の勉強で徹底的に頭に詰め込む都市計画法、建築基準法、国土利用計画法などの知識は、そのまま行政書士の実務で強力な武器になります。役所の都市計画課や農業委員会の窓口で担当者と事前協議をする際も、専門用語でスムーズに話ができるため、役所側からも「話が通じる専門家」として信頼されやすくなります。
不動産業者とのパイプ作りにも役立つ
また、もし自分が宅建を持っていれば、街の不動産屋さんと共通の言語で話ができるようになります。不動産業者さんは、行政書士にとって非常にありがたい「仕事の紹介元」になり得る存在です。
不動産の売買には農地転用が伴うことも多いですし、飲食店をやりたいお客様に店舗物件を仲介したとなれば「営業許可」が必要になります。外国人の方向けの物件仲介であれば、在留資格(ビザ)の確認も出てきます。
「不動産の取引実務がわかっている行政書士」として認識してもらえれば、不動産業者さんから「ちょっとこの案件、法律的にいけるか調べてよ」と相談が来るようになり、継続的に仕事を依頼してもらえる強力な関係性が築けそうです。将来的には、自社で宅建業の免許を取り、不動産仲介と許認可をセットで提供するビジネスモデルも夢ではありません。
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3. 社会保険労務士(社労士)- 顧問契約で経営を安定させたいなら狙いたい資格
もし私が、企業向けの業務(BtoB)に特化し、単発の仕事ではなく、毎月安定した収入が見込める「顧問契約」をビジネスモデルの軸にしたいと考えるなら、社会保険労務士はどうしても欲しくなる資格です。
「許可を取って終わり」から抜け出せる
行政書士の仕事は、どうしても「許可が下りたらそこで業務終了」というスポット(単発)の案件が多くなりがちです。
例えば、難易度が高く報酬も良い「運送業の許可」を取ったとします。無事に許可が下りた後、その運送会社が直面するのは「従業員の社会保険や雇用保険の手続き」であり、「複雑な労務管理(2024年問題など)」といった人の問題です。
もし私に社労士の資格があれば、「許可が取れましたね。これからの従業員さんの社会保険手続きや、雇用調整助成金などの申請、日々の就業規則の見直しも、私が顧問として全部サポートしますよ」と提案できます。
これは、お客様にとっても複数の専門家をあちこち探す手間が省け、「会社の事情を一番よく知っている先生に全部任せられる」という計り知れないメリットになります。
建設業界の「社会保険加入要件化」という強烈な追い風
さらに、建設業界をメインにするなら社労士資格の威力は絶大です。
令和2年(2020年)10月の建設業法改正により、適切な社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)に加入していることが、建設業許可の取得および更新の「絶対要件」となりました。かつてのように「保険に入っていなくても許可は取れる」という時代は完全に終わったのです。
「建設業許可のプロ」であり、同時に「社会保険のプロ」でもあるという立ち位置は、今の時代、建設業者さんから非常に重宝される存在になります。未加入の業者さんに対して、保険加入のシミュレーションから加入手続き、そして建設業許可申請までを一気通貫で引き受けられるのは、圧倒的な強みです。
ただ、社労士試験は難易度が非常に高く、特に一般常識科目の足切りなど、合格までにかなりの時間と運も必要になります。開業準備と並行して片手間で受かるような試験ではないので、まずは行政書士として経営を軌道に乗せてから、数年がかりで挑戦するかどうかを考えることになりそうです。
4. 司法書士 - 会社設立や相続を「自分一人で完結させたい」なら
行政書士として実務をこなしていくと、法律で定められた「業際(他士業の独占業務との境界線)」の壁にぶつかり、きっと「もどかしさ」を感じる場面が出てくると思います。もし私が会社設立や相続をメイン業務にするなら、司法書士の資格を持っていればどんなに良いだろう、と考えるはずです。
「登記」という最後の壁
会社設立の依頼を受けた場合、行政書士ができるのは定款の作成や、公証役場での定款認証手続きまでです。最後に法務局へ「設立登記」の申請をするのは、司法書士法で定められた司法書士の独占業務であるため、行政書士が代理することはできません。
お客様からすれば、「あとは提携している司法書士の先生にお願いしますね。そちらにも報酬を払ってください」と言われると、少し手間に感じられたり、費用が二重にかかるような印象を持たれるかもしれません。もし自分が司法書士の資格も持っていれば、ご相談から定款作成、登記申請、そして設立直後の許認可(例えば会社を作ってすぐに建設業許可を取りたい場合など)まで、文字通り「完全ワンストップ」でスピーディにサービスを提供できます。
相続業務でも不動産の名義変更がスムーズに
相続業務においても同様の壁があります。戸籍を集めて相続人を確定し、遺産分割協議書を作成するところまでは行政書士の得意分野です。しかし、もし亡くなった方の財産に家や土地(不動産)が含まれていた場合、その名義変更(相続登記)はやはり司法書士にお願いすることになります。
これらの業務で、お客様の負担を極限まで減らし、「私に任せてくれれば、役所への手続きも法務局への手続きも全て終わります」と言えるのは、司法書士とのダブルライセンスならではの圧倒的な利便性です。
しかし、司法書士試験の難易度は凄まじく、3000時間以上の勉強が必要とも言われます。開業直後の売上を作らなければならない死活問題の時期に、これほど重い資格に挑戦し、本業がおろそかになる(サンクコスト化する)のは、経営的なリスクが高すぎると判断します。
5. ファイナンシャルプランナー(FP)- 個人のお客様との接点を作るなら
もし私が、遺言や相続、成年後見といった個人のお客様(BtoC)向けの業務を中心にやっていこうと考えるなら、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格は、とても良いフロントエンド(入り口)になってくれると感じます。
「お金の相談」から「法務のサポート」へ
一般の方にとって、「行政書士の事務所に法律の相談に行く」というのは、かなりハードルが高い行動です。「そもそも自分の悩みは、行政書士に相談していいことなのか?」「相談料をいくら取られるか分からない」と警戒されている方も多いでしょう。
しかし、「老後の資金について」「保険の見直しについて」といった、身近な「お金の相談」や「家計の相談」であれば、比較的気軽に話をしてくださいます。
FPとしての知識(2級や、できれば実務的な提案ができるAFP・CFPなど)があれば、家計やライフプランのシミュレーションを行う中で、様々な法的課題を見つけることができます。
例えば、「老後の資金はこれくらい必要ですね。ところで、もし認知症になってしまった時のために、任意後見契約という制度をご存知ですか?」とか、「ご自宅の評価額が結構高いので、将来揉めないために、今のうちに遺言書を作っておくと安心ですよ」と、自然な流れでお客様の心に寄り添いながら、行政書士としての法務サポートをご提案できそうです。
FP資格は、それ自体で強力な独占業務があるわけではありません。しかし、お客様との信頼関係を築き、相談のハードルを下げ、潜在的な法務ニーズを引き出すための「ヒアリングツール」として、とても有効に働くと思います。
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6. 中小企業診断士 - 経営のパートナーとしての立ち位置を目指すなら
行政書士は正確な書類作成のプロですが、時折「ただの手続き代行業者」として軽く見られてしまうこともあります。もし私が、そこから一歩踏み込んで「企業の経営全体をサポートする軍師のような存在」になりたいと願うなら、中小企業診断士を目指す道も考えられます。
補助金申請や事業計画策定で説得力が増す
中小企業診断士は、国が認める唯一の経営コンサルタントの国家資格です。
行政書士の業務の中で、この知識が最も活きるのは「補助金申請」や「創業融資のサポート」だと考えます。
補助金を通すためには、ただ書類の空欄を埋めるだけではダメです。その会社の外部環境(市場や競合)を分析し、内部環境(自社の強みや弱み)を言語化し、いかにして売上を立てていくのかという精緻な事業計画書を作り上げる必要があります。これはまさに中小企業診断士の試験勉強で叩き込まれるロジカルな思考法そのものです。
「書類の形式を整えて許可を取る」だけでなく、「事業をどうやって成長させていくか」「どうやって資金を調達するか」まで踏み込んだアドバイスができれば、お客様の見る目は劇的に変わります。あなたは単なる外注業者ではなく、会社の運命を共に考えるかけがえのないビジネスパートナーになれるはずです。
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参考行政書士の次の資格に中小企業診断士は正解か?現役プロが斬るメリット・デメリットと最強の取得戦略
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7. 税理士 - 企業のサポートにおいて、いつかは辿り着きたい究極の形
最後に、もし私が法人業務を極めようとするなら、究極の目標として頭の片隅に置いておくかもしれないのが税理士です。士業の中でも圧倒的な安定感と顧客基盤を持つ資格と言えます。
毎月お客様と顔を合わせる圧倒的な強み
税理士さんの最大の強みは、月次の決算や毎年の確定申告などを通じて、お客様である企業の「お金の動き(血液の流れ)」を全て把握していることです。そして何より、定期的に必ずお客様と連絡を取り合う関係性にあります。行政書士のように、数年に一度の更新時期だけ連絡するのとはわけが違います。
会社の業績が良くなってきたタイミングで「そろそろ利益が出てきたので、節税も兼ねて法人化しませんか」と提案したり、建設業許可の財産要件(純資産500万円など)を満たしそうになった時に「いよいよ許可の申請準備を始めましょうか」と声をかけたりすることができます。
これほど最適なタイミングで、しかも高い信頼関係のもとで提案ができるのは、税理士ならではの強みです。
ただ、税理士試験は科目合格制とはいえ、官報合格を果たすには膨大な年月と労力が必要です。大学院免除などを活用したとしても相当な投資になります。今すぐどうこうというよりは、将来的に税理士法人と提携したり、組織を拡大していく際の、大きなビジョンの一つとして捉えておきたいです。
シミュレーションを終えて。私が今、選ぶ「次のステップ」とリアルな生存戦略
ここまで、「もし自分が行政書士の資格しかない状態で、次を目指すなら」という視点で、様々な資格との相性や実務での使われ方を検証してきました。
どの資格も大変魅力的で、持っていれば間違いなく実務の幅は広がります。
しかし、現実的な経営の視点に立ち返って、もし私が今、これから開業して自分の力で売上を作っていかなければならない立場だとしたら、どのように行動するでしょうか。
おそらく、私は以下のようなステップを踏むと思います。
まず、一番最初に取り組むのは「簿記3級(できれば2級)」の知識をしっかり身につけることです。これは別の国家資格を取って肩書きを増やすというより、行政書士としての実務を安全かつ正確にこなすための「基礎体力作り」として割り切って勉強します。数週間から数ヶ月の努力で、決算書への恐怖感が消えるなら安い投資です。
そして、社労士や司法書士といった他の難関資格の勉強に手を出して何年も引きこもるのではなく、「行政書士としての実務の勉強」と「仕事を取るための営業・提携活動」に自分の時間と資金を全振りします。
「司法書士の資格がないと登記ができないから、会社設立の営業は控えよう」などとは考えません。登記の部分は、すでに資格を持って活躍されている司法書士の先生に頭を下げて提携をお願いし、お互いに仕事を紹介し合えるようなネットワーク作りに奔走します。「餅は餅屋」で専門家に任せることで、お客様には高品質なサービスを提供しつつ、自分は行政書士の業務に集中して売上を立てることができます。
資格というのは、お客様の悩みを解決するための「手段」であって、「目的」ではありません。
お客様が求めているのは、「名刺にたくさんの資格が並んでいる人」ではなく、「自分の話を親身になって聞いてくれて、目の前の面倒な問題に素早く、的確に道筋をつけてくれる専門家」です。
ですから、もし私が今の状態からスタートするなら、まずは「行政書士」という、社会のあらゆる手続きにアクセスできる素晴らしい資格を一つの武器にして、勇気を出して現場に飛び込みます。
実際にお客様と向き合い、泥臭く仕事をする中で、「私の事務所には、どうしてもお客様のためにこのサービス(資格)が必要だ」「この部分を内製化しないとお客様に迷惑がかかる」と心から痛感したタイミングで初めて、次の資格のテキストを買いに行くと思います。
行政書士という資格には、それ単体でも十分に社会の役に立ち、感謝されながらビジネスとして成り立たせるだけの大きなポテンシャルが秘められていると信じています。