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数ある行政書士の許認可業務の中でも、近年急速に需要を伸ばし、法制度の整備が現在進行形で進んでいるのが「ドローン(無人航空機)関連の飛行許可承認申請」です。
ドローンの活用は、趣味の空撮から、測量、インフラ点検、農業、そして物流へと劇的な進化を遂げています。それに伴い、航空法をはじめとする関連法令は毎年のようにアップデートされ、事業者が自社で法規制を完全にキャッチアップし、適法な運用体制を維持することは困難になりつつあります。ここに、行政書士が法務の専門家として介在し、企業のビジネスを法的に支援する大きなポテンシャルが存在します。
本記事では、行政書士としてドローン関連業務の取り扱いを検討している方へ向けて、知っておくべき法令の構造、DIPS2.0を用いた実務の具体的な流れ、他の許認可業務との連携、報酬相場、そして専門家として生き残るための学習法について、実務の最前線の視点から徹底的に解説します。
ドローン許可申請業務(無人航空機飛行許可承認申請)の現在地と将来性
ドローン業務を専門分野として検討する上で、まずは市場の動向と法規制の現在地を正確に把握する必要があります。ドローンは単なる「空飛ぶカメラ」から、「産業インフラの一部」へと完全に変貌を遂げました。
航空法改正と国家資格制度(技能証明)の影響
2015年の航空法改正によって無人航空機の基本的な飛行ルールが定められて以降、ドローンを取り巻く法環境は目まぐるしく変化しています。2022年12月には「改正航空法」が施行され、機体の安全性を国が証明する「機体認証制度」や、操縦者の技能を証明する「無人航空機操縦者技能証明(国家資格)」制度が導入されました。これにより、有人地帯における目視外飛行(レベル4飛行)が解禁されるなど、ドローンビジネスの可能性は飛躍的に広がっています。
ここで行政書士が知っておくべき重要な事実があります。それは、「国家資格(二等資格以上)を取得し、かつ機体認証を受けたドローンを使用する場合、一定の飛行(カテゴリーII飛行)においては許可・承認が不要となる、あるいは手続きが簡略化される」という点です。これを理由に「行政書士の仕事はなくなるのでは?」と懸念する声もありますが、実態は逆です。資格制度が複雑化したことで、企業は「自社の業務が申請不要のケースに該当するのか、それともやはり許可が必要なのか」の判断すらできなくなっており、コンプライアンス体制構築のための法務コンサルティング需要はむしろ高まっています。
【重要】2026年施行・改正行政書士法による「無資格コンサルの排除」
2026年(令和8年)1月1日に施行された改正行政書士法は、ドローン業務を専門とする行政書士にとって極めて強力な追い風となっています。特に実務に直結し、業界構造を変えつつあるのが以下の2点です。
- 業務の制限規定の明確化と両罰規定(第19条・第21条等): これまでドローン業界では、一部の機体販売店やドローンスクールが「機体導入サポート料」や「コンサルティング料」といった名目で、実質的にDIPS2.0の申請や飛行マニュアル作成を代行してしまう「グレーな無資格業務」が散見されました。しかし法改正により、「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」書類作成を行うことが明確に禁じられました。さらに、違反者だけでなく法人に対する罰金刑(両罰規定)も整備されたため、コンプライアンス意識の高いスクールや企業は違法リスクを避けるべく、適法な外注先として行政書士とのBtoB提携(業務委託)を急ピッチで進めています。
- デジタル社会への対応(第1条の2): 新設された職責として、「情報通信技術の活用その他の取組を通じて、国民の利便の向上及び当該業務の改善進歩を図る」ことが明文化されました。DIPS2.0という完全オンラインシステムを駆使し、企業の法務を円滑にするドローン業務は、まさに改正法が行政書士に求める新しい職責を体現する領域と言えます。
「特定飛行」の概念と許可承認の必要性
ドローンの業務において中心となるのが、航空法に基づく「特定飛行」に対する飛行許可・承認の申請です。重量100g以上の無人航空機を屋外で飛行させる場合、以下のいずれかに該当する飛行は「特定飛行」となり、原則として国土交通大臣の許可または承認が必要となります。
- 飛行空域の規制(許可が必要)
- 空港等の周辺の空域
- 緊急用務空域(災害時などに指定される空域)
- 150m以上の高さの空域
- 人口集中地区(DID地区)の上空
- 飛行の方法の規制(承認が必要)
- 夜間飛行
- 目視外飛行(モニターを見ながらの操縦など)
- 人又は物件から30m未満の距離での飛行
- 催し場所(イベント)上空での飛行
- 危険物の輸送(農薬散布を含む)
- 物件の投下(農薬散布を含む)
これらの規制は独立しているわけではなく、実務においては「DID地区上空で、夜間に、目視外で飛行させたい」といった複合的なニーズが寄せられます。行政書士は、クライアントの飛行計画がどの規制に抵触するかを瞬時に判断し、適切な申請区分を選択するスキルが求められます。
包括申請と個別申請の使い分け
ドローンの飛行許可承認には、大きく分けて「包括申請」と「個別申請」の2種類があります。
包括申請は、同一の操縦者が、一定の期間内(最長1年間)に、特定の飛行経路を定めずに(「日本全国」など)反復継続して飛行させる場合に利用します。多くの空撮事業者や測量業者、農薬散布事業者が求めるのはこの包括申請です。ただし、包括申請では許可されない飛行(イベント上空など)もあるため、ヒアリング時に見極める必要があります。
個別申請は、飛行の日時と経路を特定して行う申請です。包括申請の要件を満たさない高リスクな飛行や、特定のイベントでの飛行などに用いられます。個別申請は、飛行経路の詳細な図面作成や、警察・消防・自治体等の関係機関との事前調整が必要になることが多く、行政書士の折衝能力と手腕が問われる高付加価値な業務となります。
ドローン許可申請業務を専門とするメリット・デメリット
業務としてドローン許認可を選択することには、他の行政書士業務にはない特有のメリットとデメリットが存在します。これらを客観的に評価し、自身の適性や事務所の方向性と合致するかを見極めてください。
ドローン業務を扱う3つのメリット
- 全国対応が可能・完全オンライン化による業務効率の高さ
ドローンの飛行許可承認申請は、国土交通省が運用する「DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)」を通じて、原則として完全オンラインで行われます。建設業許可や宅建業免許のように、ローカルルール(自治体ごとの手引きの違い)に大きく縛られたり、管轄の役所へ出向いて大量の紙の書類を提出したりする必要がありません。地方に事務所を構えながら、東京や全国のクライアントを獲得・支援できる高いスケーラビリティを持っています。 - 定期的な更新による高いリピート性
包括申請の有効期間は最大1年間です。そのため、クライアントが業務でドローンを使用し続ける限り、毎年の更新手続きが確実に発生します。初回のヒアリングや申請スキームの構築をしっかり行えば、翌年以降は機体の追加や操縦者の変更などに伴う「変更申請」や、期限切れ前の「更新申請」として、事務所の経営を支える安定したストック収入となります。 - 他業務への派生・クロスセルが極めて容易
ドローンを業務で活用する企業は、建設業、測量業、不動産業、農業法人など多岐にわたります。ドローンの申請を入り口として経営者と関係性を構築することで、各種許認可(建設業許可、産廃収集運搬業許可など)や、法人設立、契約書作成といった、より高単価な他の行政書士業務の依頼に繋がる確率が非常に高いのが最大の特徴です。
ドローン業務のデメリットと直面する壁
- 法改正とシステム変更のスピードが速い
航空法はテクノロジーの進化に合わせて頻繁に改正されます。また、国土交通省の審査要領や各種ガイドラインも随時更新されます。先月まで通用していた申請方法やマニュアルが、今月には補正対象になるということも珍しくありません。常に最新の一次情報をウォッチし続ける学習コストが必要です。 - DIPS2.0のシステムトラブルや仕様変更への対応
オンライン申請システムであるDIPS2.0は、定期的なメンテナンスや仕様変更が行われます。時にはシステムエラーにより申請が進まないこともあります。システムの仕様を熟知し、クライアントに分かりやすく操作手順(アカウント作成や機体登録など、本人しかできない部分)を案内するITサポート力が求められます。 - 価格競争の激化
オンラインで全国対応が可能である裏返しとして、全国の行政書士が競合となります。安易に「代行手数料数千円」といった価格競争に巻き込まれると、業務量に対して利益が見合わなくなります。単なる入力代行ではなく、実態に即した安全管理体制のコンサルティングなど、独自の付加価値を提供できなければ生き残れません。
実務の全体像:依頼から許可取得・飛行開始までのフロー
ここでは、実際にクライアントから依頼を受けた後、どのようなステップで実務を進めていくのか、その詳細なフローを解説します。DIPS2.0での入力作業の前に、いかに精緻なヒアリングと法的判断を行うかが、審査をスムーズに通過させる鍵となります。
ステップ1:詳細なヒアリングと対象飛行の特定
クライアントからの相談に対し、まずは「いつ、どこで、誰が、何を、どのように飛ばしたいのか」を徹底的にヒアリングします。
- 目的: 空撮、測量、インフラ点検、農薬散布、イベント撮影など。
- 機体: 機種名、重量、改造の有無、リモートIDの搭載状況。すでにDIPS2.0で機体登録が完了しているか。
- 操縦者: 飛行経験時間(最低10時間の飛行経歴が原則必要)、国家資格(技能証明)や民間資格の有無。
- 飛行場所・方法: DID地区か、夜間か、目視外か。第三者や物件との距離は30m以上保てるか。
クライアント自身が、自らの飛行計画がどの規制に抵触するのかを理解していないケースがほとんどです。「海の上だから大丈夫」と思っていても、港湾法の規制があったり、「自分の土地だから」と言ってもDID地区に該当していたりします。行政書士が法的知識をもって正確なフィルターをかける最初の関門です。
ステップ2:航空法以外の関連法令の確認(専門性の見せ所)
ドローンの飛行を規制するのは航空法だけではありません。行政書士として付加価値を提供するためには、航空法以外の関連法令のリスクを洗い出し、クライアントに提示する必要があります。
- 小型無人機等飛行禁止法: 国の重要施設(国会議事堂、首相官邸、原子力事業所など)の周辺おおむね300mの上空は飛行が絶対的に禁止されています。
- 民法(土地所有権): 土地の所有権は、その土地の上下に及びます(民法207条)。第三者の土地の上空を低空で飛行させる場合、土地所有者の承諾が必要となる可能性があります。
- 道路交通法: 道路上空から離発着を行う場合や、道路を通行止めにして飛行させる場合は、管轄警察署長の道路使用許可が必要です。
- 電波法: 海外製のドローンや、産業用の特殊な通信機器(5G通信など)を使用する場合、技適マークの有無や、特定の無線局免許、第三級陸上特殊無線技士などの資格が必要になることがあります。
- 地方公共団体の条例: 都立公園など、多くの公園や河川敷では独自の条例によってドローンの飛行が禁止または制限されています。
これらの規制をクリアしているかを確認し、必要に応じて道路使用許可や河川占用許可の申請を合わせて受任することが、単価向上とクライアントの満足度向上に直結します。
ステップ3:DIPS2.0でのアカウント作成と機体登録(事前準備)
飛行許可承認申請を行う前に、DIPS2.0上で以下の準備が完了している必要があります。
- アカウントの開設: 個人の場合はマイナンバーカードや運転免許証、法人の場合はgBizID等を利用して本人確認を行います。
- 機体登録: 100g以上のすべてのドローンは、事前の機体登録と登録記号の機体への表示、およびリモートID機能の搭載(または免除措置の適用)が義務付けられています。
行政書士が代理申請を行う場合でも、アカウント作成や機体登録の初動はクライアント(本人)のアクションが必要です。この段階でクライアントがIT操作に不慣れでつまずくことが多いため、画面キャプチャを用いた分かりやすいオリジナルの案内マニュアルを用意するなどの工夫が求められます。
ステップ4:DIPS2.0による飛行許可承認申請の入力
情報が出揃ったら、DIPS2.0で実際の申請作業を行います。行政書士アカウントからクライアントのアカウントへ「代理申請」の紐付けを行い、作業を進めます。
申請書の主要な構成要素は以下の通りです。
- 飛行の目的と経路: 包括申請の場合は「日本全国」等と指定し、個別の場合は詳細な経路図や立入管理区画を明示した図面を添付します。
- 飛行させる機体の情報: 機体の性能、安全装置(フェールセーフ機能など)の有無。
- 操縦者の情報: 飛行経歴、保有資格、過去の違反歴の有無。
- 安全を確保するための体制: 補助者の配置、飛行マニュアルの添付など。
ステップ5:飛行マニュアルの作成と独自の安全対策
審査において極めて重要になるのが「無人航空機の飛行に関するマニュアル」です。航空局が作成した「標準マニュアル」をそのまま使用すれば審査は簡略化されますが、標準マニュアルには「風速5m/s以上の場合は飛行させない」「第三者の上空では飛行させない」「学校や病院の周辺では飛行させない」などの厳しい制限が含まれています。
クライアントの業務内容によっては、標準マニュアルの制限下では現場作業が遂行できない場合があります。その際、行政書士は標準マニュアルをベースに、特定の制限を解除する代わりにどのような代替安全措置を講じるかを記載した「独自マニュアル」を作成します。
例えば、どうしても補助者を配置できない業務の場合、「立入管理区画を物理的(カラーコーン等)に設定し、第三者の侵入を確実に防ぐ措置を講じる」といった内容を論理的に構築し、審査官を納得させる必要があります。ここに、行政書士としての法的思考力と文章構成力が問われます。
ステップ6:補正対応と許可書の受領
申請後、航空局の審査官から内容についての疑義や追加資料の要求(補正指示)が来ることがあります。補正指示には速やかに、かつ的確に回答しなければなりません。審査官が何を懸念しているのか(機体の性能不足か、安全体制の不備か、マニュアルの矛盾か)を正確に読み取り、代替案を提示する交渉力が求められます。
無事に審査を通過すると、DIPS2.0上で電子的な「許可書・承認書」が発行されます。これをダウンロードし、独自の注意事項(飛行時の携行義務など)を添えてクライアントに納品します。
ステップ7:飛行計画の通報と飛行実績の報告
許可を取得して終わりではありません。実際の飛行を行う前には、他の航空機やドローンとの空中衝突を防ぐため、DIPS2.0内の「飛行計画の通報機能」を用いて、いつ・どこで飛ばすのかを入力する義務があります。
さらに、許可を受けた者は、原則として定期的に(または飛行終了後に)飛行実績を国土交通省に報告する義務があります。これらの事後義務を怠ると、次回の更新が認められないばかりか、航空法違反に問われる可能性があります。行政書士としては、許可取得後の適法運用についてもクライアントを指導し、実績報告の代行業務を顧問契約として巻き取っていく設計が必要です。
ドローン業務でつまずきやすいポイントとその対策
ドローン実務において、多くの初学者が壁にぶつかるポイントがあります。これらを事前に把握し、対策を講じておくことが重要です。
1. 「標準マニュアル」と「実態」の乖離によるコンプライアンス違反
最も多いトラブルが、行政書士が審査を通しやすいため安易に標準マニュアルで申請した結果、クライアントが現場で知らずに「マニュアル違反」を起こしてしまうケースです。例えば、標準マニュアルには「飛行の前に、飛行経路の周辺の施設等について確認する」といった規定がありますが、実務現場でこれを厳密に守れていない事業者は少なくありません。マニュアル違反での飛行は、許可を得ていない飛行と同義とみなされるリスクがあります。
対策: ヒアリングの段階で、クライアントの実際の現場作業フローを事細かに聞き出します。そのフローがマニュアルに適合しているかを確認し、適合していない場合はフローの改善を提案するか、実態に合わせた「独自マニュアル」の作成へと舵を切ります。行政書士は「書類の審査を通すこと」ではなく「顧客に実務で適法に飛ばさせること」に責任を持つべきです。
2. 操縦者の「10時間」の飛行経歴の証明
許可承認を受ける操縦者は、原則として10時間以上の飛行経歴を有している必要があります。しかし、これからビジネスを始めるクライアントの場合、この10時間をどこで、どうやって適法に確保するかが問題になります。
対策: 許可が不要な環境(屋内、四方と上部がネットで覆われた施設、DID地区外での日中の目視内飛行など)での練習方法を具体的にアドバイスします。または、前述した通り2026年の法改正によってコンプライアンスを重視するようになった提携ドローンスクール(登録講習機関)を紹介し、そこで基本技能と10時間の経歴を積んでもらうスキームを構築します。
3. 立入管理区画と「第三者」の定義の解釈
特定飛行を行う際、「第三者」の上空は原則飛行禁止であり、飛行範囲の下には「立入管理区画」を設ける必要があります。ここでいう「第三者」とは誰なのか、クライアントの従業員は第三者なのか、イベントの観客は第三者なのか、といった解釈で迷うことがあります。
対策: 国土交通省が公表している「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」を徹底的に読み込みます。審査要領には、「第三者」とはドローンの飛行に直接関与しない者のことであり、業務の発注者であっても基本的には第三者に該当する等、細かな解釈基準が明記されています。ネットの噂ではなく、必ず一次情報にあたる癖をつけることが最大の防御策です。
💡 顧客にアドバイスする前に、まずは自分が「現場」を知る
上記のように、実務ではクライアントに対して「ドローンスクールでの技能習得」を勧める場面が多々あります。その際、行政書士自身が「スクールでどんな講習が行われているか」「最新の機体はどんなものか」を肌で知っていなければ、説得力のある提案はできません。
また、自分自身がドローンを扱えるようになる(国家資格を取得する)ことは、ドローン専門の行政書士として最強の差別化ルートでもあります。
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他の行政書士業務との親和性・クロスセル戦略
ドローン業務単体でも十分に事務所の柱になり得ますが、真のポテンシャルは他の業務とのシナジー効果にあります。ドローンを活用する業界は、行政書士の伝統的な主戦場と深く結びついています。
建設業・測量業との連携(建設業許可・経審・入札参加資格)
建設現場でのドローン測量(i-Construction)や、施工進捗の空撮、赤外線カメラを用いた外壁点検はもはや常識となっています。建設業者が新たにドローンを導入する際、ドローンの許可申請を入り口としてアプローチします。
企業の法務状況をヒアリングする中で、「実は自社で建設業許可を取りたい」「公共工事に参入するために経営事項審査(経審)を受けたい」といった巨大なニーズを引き出すことができます。ドローンで最新技術に前向きな企業は、事業拡大の意欲が高く、優良なクライアントになりやすい傾向があります。
不動産業・産業廃棄物処理業との連携
不動産業界では、大規模な分譲地や屋根の状況を空撮してプロモーションに活用します。また、産業廃棄物収集運搬業や処分業では、広大な処理施設の状況把握や、不法投棄の監視にドローンが使われます。
これらの企業に対しては、ドローン許可と同時に、宅建業免許の更新や、産廃許可の新規・更新、さらには農地転用許可(現地調査にドローンを活用する提案など)をクロスセルすることが可能です。
エンターテインメント・イベント業との連携
野外フェスやスポーツイベントでの空撮は需要が高いですが、「催し場所上空の飛行」となり、極めて難易度の高い個別申請が要求されます。警備計画の策定や、地元警察への道路使用許可、消防への届出など、複合的な行政手続きが発生します。イベント全体の法務サポートを一手に引き受けることで、高単価なコンサルティング業務へと昇華させることができます。
顧客獲得と事務所運営の考え方
専門知識を身につけた後は、どのようにして案件を獲得し、事務所の経営を安定させるかを設計します。
BtoBとBtoCのターゲット設定
ドローンの依頼者は、趣味で飛ばしたい個人(BtoC)と、業務で使用する企業(BtoB)に分かれます。
個人の趣味飛行の申請は、単価が低くなりがちで、かつ継続的な更新が見込みにくいという側面があります。一方で、法人の業務利用は、安全管理体制の構築から関わるためコンサルティング要素が強く、高単価で継続的な関係を築きやすいです。
初期の実績作りとして個人案件を受けるのは有効ですが、中長期的には前述の2026年改正行政書士法へのコンプライアンス対応を迫られている企業・スクールなど、BtoB案件をターゲットにしたWebサイト構築や営業活動を展開すべきです。
【実務のリアル】ドローン申請の報酬相場と収益モデル
ドローン業務の単価設定は事務所の戦略によりますが、実務上の一般的な報酬額の目安は以下の通りです。
- 包括申請(新規): 30,000円 ~ 50,000円 / 件
- 包括申請(更新): 20,000円 ~ 30,000円 / 件
- 個別申請(難易度・調整業務による): 50,000円 ~ 150,000円以上 / 件
- 独自マニュアル作成費: +20,000円 ~ 50,000円
- 実績報告代行等の月額顧問: 5,000円 ~ 15,000円 / 月
包括申請単体では薄利に見えるかもしれませんが、法人クライアントが複数の機体や操縦者を抱えている場合、その変更申請や毎年の更新が積み重なることで、強固な収益基盤となります。
リスク管理と責任の所在の明確化
ドローンが墜落すれば、人身事故や物損事故を引き起こすリスクがあります。行政書士は許可を取得するまでが業務ですが、万が一クライアントが事故を起こした場合、「行政書士が大丈夫と言ったから飛ばしたのに」と責任を転嫁されるリスクがないとは言えません。
委任契約書において、「当事務所は許可取得のための手続きを代行するものであり、実際の飛行における安全確保および事故等の責任はすべて操縦者・事業者に帰属する」旨を明確に記載する必要があります。
また、クライアントに対しては、必ずドローン保険(賠償責任保険および機体保険)への加入を強く推奨し、未加入の場合は受任しないといった厳しい基準を持つことも、専門家としての矜持です。
ドローン業務をマスターするための具体的な学習法
行政書士試験の科目に「航空法」はありません。実務に就くには、ゼロから専門知識を構築する必要があります。圧倒的な専門性を身につけるための学習ステップを紹介します。
1. 国土交通省の一次情報を「暗記レベル」で読み込む
すべては国土交通省の公式発表にあります。以下の資料は、プリントアウトして手元に置き、付箋だらけになるまで読み込んでください。
- 航空法(第11章:無人航空機)
- 航空法施行規則
- 無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領
- 航空局標準マニュアル(各種)
- 無人航空機レベル4飛行のための操縦ライセンス制度等に関するガイドライン
特に「審査要領」は、審査官がどのような基準で許可を出しているのかが詳細に書かれたバイブルです。市販の解説書を読む前に、まずは審査要領を熟読することが実務家としての土台を作ります。
2. 自らドローンを購入し、DIPS2.0を操作する
「自分は飛ばさないから」といって実機に触れないのは専門家として致命的です。100g以上のトイドローンで構いませんので、必ず自腹で購入してください。
- 実際に自分のアカウントでDIPS2.0にログインする。
- 機体登録を行い、リモートIDの設定を体験する。
- 自分の自宅周辺の空域がどのような規制にかかっているか、地図アプリ(国土地理院地図など)で確認する。
- 実際に許可申請(例えばDID地区での空撮など)の入力画面を最後まで進めてみる(送信はしなくても可)。
クライアントがどの画面でつまずくのか、どの入力項目が分かりにくいのかを身をもって知ることで、初めて血の通った的確なサポートが可能になります。
3. 最新の法改正情報の収集ルートを確立する
ドローンの法規制は生モノです。情報収集を怠れば、即座に誤ったアドバイスをしてしまうリスクがあります。
- 国土交通省の「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」のページをブックマークし、週に1回は確認する。
- パブリックコメントの募集状況をチェックし、国の今後の方向性を先読みする。
- ドローン関連の専門メディアや、業界団体のニュースレターを購読する。
🎁 トイドローンの独学から、次のステップへ
専門家としての学習を進める中で、トイドローンでの独学から一歩進み、本格的なドローン操縦の国家資格取得を目指すことは非常に有効なルートです。(実際に「行政書士+ドローン操縦士」のダブルライセンスで活躍している実務家は年々増加しています)
関西エリア(大阪・兵庫)にお住まいの方は、西日本最大級の職業訓練特化型スクール「ドローンマスターズスクール」が毎日無料体験会を開催しています。プロの環境を無料で体験し、"飛ばせる専門家"への第一歩を踏み出してみませんか。
よくある質問:行政書士のドローン業務(FAQ)
- Q. ドローンの国家資格を持っていれば、許可申請は一切不要になりますか?
- A. 一切不要になるわけではありません。二等資格以上と機体認証を持つドローンで、立入管理区画を設けたカテゴリーII飛行(DID上空、夜間、目視外、人・物件から30m未満)を行う場合のみ、許可承認が不要(一部手続きの簡略化)となります。イベント上空や空港周辺などは引き続き許可・承認が必要です。
- Q. DIPS2.0の操作は難しくないですか?
- A. システム自体は年々改善されていますが、要求される添付書類や、独自の安全対策を入力する項目などは、航空法の知識がない一般の方には難解です。行政書士が法的な知見を持って入力・作成することに価値があります。
- Q. ドローン業務は儲かりますか?
- A. 単発の個人依頼だけでは収益化は難しいですが、ドローンスクールとの提携(BtoB)や、法人の包括申請の毎年の更新(ストック収益)、さらに建設業許可など他業務へのクロスセルを成功させることで、事務所の強力な収益基盤になり得ます。
おわりに
ドローン関連の許可申請業務は、航空法という特殊な法領域を扱うため、最初は専門用語の壁にぶつかるかもしれません。しかし、その壁の高さこそが参入障壁となり、一度専門性を確立してしまえば、全国のクライアントから頼られる強力な武器となります。
常に変化し続けるテクノロジーと法規制の狭間に立ち、クライアントのビジネスの可能性を適法な形で広げていく。ドローン業務は、行政書士としての法的思考力とコンサルティング能力が最大限に試される、極めて知的な業務領域です。一次情報を恐れず読み解き、実態に即した安全管理体制を構築する力があれば、この分野で圧倒的な存在感を示すことができるはずです。
