行政書士として登録申請の準備をするとき、まず最初に直面する重要な課題は「事務所を決めること」です。
事務所の選択は開業後のビジネスの方向性や経営コストを大きく左右します。
この記事では、行政書士として開業するために必要な事務所の選び方や、各種物件ごとのメリット・デメリットを詳しく解説します。
読み終える頃には、自分のスタイルに最適な事務所選びの方法が理解できます。
行政書士の事務所とは何か?
行政書士事務所の基本的な定義と概要
行政書士として活動するには、まず行政書士会に事務所を登録する必要があります。
事務所とは、行政書士業務を行う拠点であり、書類の作成や顧客との打合せ場所として機能します。
事務所の所在地は確実に郵便物が届く場所でなければならず、登録申請時には都道府県行政書士会の調査が行われる場合があります。
自宅を事務所として使用することも可能ですが、いくつかの要件を満たす必要があります。
事務所として使用可能な物件の特徴
自宅を事務所として利用する
自宅の一部を事務所として使う方法は、コスト面で非常に有利です。
自己所有の場合は建物の登記簿謄本、家族所有の場合は使用承諾書の提出が求められます。
ただし、専用の部屋であり、玄関から直通できることが条件です。
また、自宅の住所が公開されてしまうデメリットもあります。
区分所有のマンションを事務所として利用する場合の注意
区分所有のマンションを利用する場合、管理規約により事業用使用が禁止されているケースもあります。
これは、不特定多数の出入りが防犯上の問題となるためです。
区分所有マンションでの開業を検討する際は、必ずマンションの管理規約を確認し、事前に使用可能か明確にしましょう。
賃貸物件を事務所として利用する
賃貸物件での事務所登録は貸主の許可が必須です。
使用承諾書または契約書に明記されていることが条件となります。
内装工事や回線工事を行う場合は、事前に貸主の許可が必要で、退去時は原状回復義務があります。
また、住居用物件を事業用として使用できないケースもありますので、事前に確認する必要があります。
事業用物件を事務所として借りる
事業用物件の最大のメリットは、不特定多数の顧客を自由に迎え入れられることです。
しかし、初期費用が高くなりやすく、賃料に加え敷金、権利金、保証金、内装工事費などの支出が必要となります。
内装工事が必要になる理由は、事業用物件のほとんどが内装工事を前提としているため、壁紙も貼ってないスケルトンの物件が多いためです。
また、住居用物件より契約条件が厳しく、注意が必要です。
シェアオフィスを利用する
最近ではシェアオフィスも選択肢に上がっています。
契約費用や賃料が比較的安く、応接室や会議室などの設備を共有で利用できるメリットがあります。
ただし、登録できない都道府県もあるため事前確認が必須です。
バーチャルオフィスは利用不可
住所のみを貸し出すバーチャルオフィスは行政書士登録には利用できません。
実態がないため許認可取得時にも認められませんので注意が必要です。
事務所選びが行政書士ビジネスに与える影響
事務所の立地や形態はコスト面で直接的な影響があります。
都市部の駅近などは顧客へのアクセスは良いですが、コストが高くなります。
一方、郊外や自宅開業はコストが抑えられるメリットがあります。
近年のビジネスはネット環境さえあれば、どこでも仕事ができるので、あまりこだわる必要はありません。
開業初期はコストを抑えることが重要
開業時はなるべく固定費を抑えることが重要です。
最初は自宅で小さくスタートし、ビジネスが軌道に乗ってきたら事務所を借りるというステップアップ方式も現実的で効率的な方法です。
多くの行政書士がこのステップアップ方式で成功しています。
事務所名を決める際の注意
事務所名には「行政書士事務所」という文言が必須です。
氏名を使う場合を除き、同地域で同一の名称は使用不可です。
他士業と混同する名称(例:法律事務所)は使用できません。
名称の確認は行政書士会連合会ホームページで可能です。
まとめ:自分に合った事務所の選び方
行政書士として成功するには、自分のビジネスモデルや経済状況に合わせて最適な事務所を選ぶことが重要です。
無理なくスタートし、段階的に成長する戦略をとりましょう。
記事で解説したポイント
- 行政書士事務所とは何か?
- 事務所として使用可能な物件の特徴
- 行政書士の事務所選びの重要性
- 事務所選びの注意点
- 事務所名のルール