行政書士の資格を取得したものの、「いきなり独立開業するのは不安」「安定収入を手放す勇気がない」と感じている方は少なくありません。
そんな方におすすめなのが、「副業行政書士」という選択肢です。
現在の本業を継続しながら、行政書士として開業し、徐々に実績を積んでいくことで、将来的な独立にも備えることができます。
本記事では、副業で行政書士を始めることの現実的な可能性と注意点、具体的な業務内容、成功するための戦略について詳しく解説します。
「資格を取ったはいいけれど、次にどう進めばいいのか分からない」という方にこそ読んでいただきたい内容です。
そもそも副業で行政書士はできるのか?
まず結論から言えば、行政書士は副業での開業が可能です。
行政書士は国家資格の中でも「独立開業型」に分類されており、一定の要件を満たせば自宅でも事務所として登録できるため、個人事業主として副業開業することができます。
ただし注意点もあります。
行政書士は「企業内行政書士」という立場で働くことは認められていません。
これは、企業の従業員として行政書士業務を行うことが法律上できないことを意味します。
そのため、たとえ行政書士資格を保有していても、勤務先の名刺に肩書きとして記載したり、会社の業務として行政書士業務を行うことはできません。
副業として開業する場合でも、「本業とは完全に切り離した独立した形」で業務を行う必要があります。
たとえば、自宅を拠点に行政書士事務所を開設し、そこから顧客対応や書類作成を行うのが一般的なスタイルです。
副業行政書士のメリットとは?
1. 安定収入を維持しながら資格を活かせる
最大のメリットは、会社員としての安定した収入を確保しながら、行政書士としての経験と収入を少しずつ積み上げていける点です。
いきなり独立すると、収入がゼロからのスタートになるため生活が不安定になりますが、副業ならそのリスクを避けることができます。
2. リアルな実務経験を積める
行政書士試験は知識試験であり、実務経験を問われることはありません。
そのため、資格を取得しても「実際にどんな業務をどう進めればいいのか分からない」という方が多いです。
副業なら、本業の合間にできる業務からスタートし、現場の経験をリアルに積むことができます。
3. 将来的な独立に備えられる
副業で業務の流れや集客のコツをつかんでおけば、いざ独立する際の不安を大きく減らすことができます。
また、既に副業で一定の売上を確保していれば、「見込み収入」がある状態で独立に踏み切ることができ、成功確率も高まります。
4. 精神的なゆとりがある
開業してすぐは売上がゼロというケースも少なくありませんが、副業であれば本業の収入があるため焦る必要がありません。
精神的な余裕があることで、冷静な判断や丁寧な顧客対応が可能となり、信頼関係を築きやすくなります。
副業行政書士のデメリットと課題
1. 対応可能な業務に制限がある
行政書士の主な業務は、官公署(役所)への申請書類の作成や提出です。
しかし、役所は平日の昼間しか開庁していないため、平日に対応できないと大きな制約が生じます。
特に、対面での相談や提出が求められる業務は、副業では対応が難しい場合があります。
2. 時間と体力のマネジメントが必要
本業がある中で副業を行うため、仕事量は必然的に増えます。
家庭やプライベートの時間とのバランスを取る必要があり、長期的に続けるには無理のないスケジュール管理が求められます。
体調管理も重要な要素となります。
3. 会社の理解が必要
副業が会社の就業規則で禁止されている場合、事前に相談・確認を行う必要があります。
行政書士業務の中には守秘義務が伴うため、会社に具体的な内容を伝えることができず、業務理解を得にくい場合もあります。
副業行政書士に適した業務とは?
副業で行政書士を行う場合でも、実は対応可能な業務は数多く存在します。
以下に具体的な業務例を紹介します。
● 契約書や内容証明の作成
依頼者から内容をヒアリングし、契約書や内容証明郵便を作成する業務です。
これらは基本的に対役所業務ではないため、休日や夜間でも対応が可能です。
電子内容証明を活用すれば、郵便局に行かずに処理できます。
● 家系図や図面の作成
戸籍から家系図を作成したり、行政手続きで必要な図面を作成する業務は、全て自宅で完結できるため副業に最適です。
依頼者とのやりとりも郵送やオンラインで完了します。
● 補助金申請書の作成
小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金など、行政書士が関わる補助金申請は多くあります。
面談やヒアリングは土日に行い、申請書は平日の夜に作成することが可能です。
申請そのものは事業者が行うケースが多いため、スケジュール調整もしやすいのが特徴です。
● 融資申請サポート
日本政策金融公庫の融資申請に必要な書類作成も人気業務の一つです。
顧客との面談を休日に設定すれば対応が可能で、公庫との面談は顧客自身が行うため、副業でも十分に取り組めます。
● 行政書士予備校の講師業
専門知識を活かして、行政書士試験の予備校で講師を務めることもできます。
講義は土日に設定されていることが多く、副業として現実的な選択肢です。
● 情報発信(ブログ・YouTube)
行政書士としての知識や体験を発信するブログや動画チャンネルを運営するのも有効です。
直接的な収入にはつながりにくいものの、ブランディングや集客の面で大きな効果が期待できます。
副業行政書士として成功するための戦略
副業行政書士として活動を始めるにあたり、以下の戦略を意識することで成功に近づけます。
- 対応しやすい業務を見極めて特化する
時間的に無理のない業務に絞り、ノウハウを深めることで信頼性が高まり、リピートや紹介にもつながります。 - デジタルツールを積極活用する
電子申請、クラウド型管理ツール(例:GビズID、J-Grants)を活用することで、場所や時間に縛られず効率的に業務が行えます。 - 副業での成果を定量的に記録する
収入、案件数、依頼者の業種などを記録しておくと、将来の独立時に明確なビジネスプランの根拠になります。
【まとめ】副業行政書士は資格の活用と実務経験の両立ができる最適な選択肢
- 行政書士資格は副業でも活かせる国家資格であり、自宅で開業が可能
- 本業の収入を維持しながら、実務経験を積み、将来的な独立への布石にできる
- 副業に適した業務内容を選ぶことで、限られた時間でも着実に成果を上げられる
- デジタルツールの活用やスケジュール管理で、副業と本業の両立も十分に可能
行政書士としてのキャリアを築くために、副業という形で小さく始めるのは、非常に賢い選択肢です。
リスクを抑えながら成長し、資格を最大限に活かす一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。