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行政書士が押さえるべき飲食店営業許可申請ガイド

スーツ姿の行政書士風の男性がクリップボードと青いチェックマークを手に持ち、背景に赤と白のストライプ屋根の店舗外観がフラットなタッチで描かれたイラスト。

 

 

飲食店営業許可申請とは?

飲食店営業許可申請は、食品衛生法に基づき「飲食物を提供する施設」を営業するために保健所へ届け出る必須手続きです。

厨房設備・衛生管理体制・レイアウトなどが法令基準に適合しているか審査され、合格すると許可証が交付されます。

無許可営業は 罰則(2年以下の懲役または200万円以下の罰金) の対象となるため、開業前に必ず取得しなければなりません。

 

どんな手続き?

飲食店として営業するために、保健所へ申請書を提出することになります。

申請前に各役所への相談と、建物調査を行い、申請、現地検査を得て営業許可を取得します。

  1. 事前相談 – 店舗所在地の管轄保健所で設備概要を説明・確認。
  2. 書類準備 – 申請書、平面図、設備写真、食品衛生責任者資格証などを用意。
  3. 書類提出&現地調査予約 – 保健所窓口で受付後、調査日程を確定。
  4. 現地調査 – 厨房動線、シンク数、手洗い設備、衛生管理計画を審査。
  5. 許可証交付 – 合格後1~2週間程度で受領。店舗内に掲示して営業開始。

ポイント:2021年のHACCP義務化により、衛生管理計画と記録簿の提示が事実上必須になっています。

 

具体的手順

相談資料の準備

役所へ相談をするため、申請する店舗の図面を作成します。

まずは、どんな営業をするのか聞き取りと図面作成のため店舗の採寸をします。

申請書に構造仕様書を添付する場合、仕様書を印刷して採寸時に確認しておくとスムーズです。

採寸ができたら図面を作成しましょう。

最終的なレイアウトが決まっていない場合、現時点で何をどこに置くかを打合せで決めておきます。

深夜営業や接待飲食店など、風営法の申請の予定がある場合、用途地域の確認や店内施設の基準を満たせるよう工事前に決めておきましょう。

店舗の場所を示す住宅地図などは、ゼンリンのいつもNAVIを利用するといいでしょう。

ネットですぐに取得でき、複製許諾証を付けることで、そのまま申請書の添付書類として使用できます。

事前相談と役所調査

図面と地図が準備できたら、役所へ相談にいきましょう。

保健所へ電話で事前相談の予約を入れ、図面と地図を持って相談にいきます。

店舗設備のレイアウトが示された図面と営業方法などを伝え、図面の確認をしてもらいます。

申請が初めてのときは、申請書類一式を仮作成して、記入方法などアドバイスをもらうといいです。

カラオケ設備を入れる場合、騒音指導を受ける必要があるので、保健所で用紙をもらっておきましょう。

 

また、消防署へ防火対象物使用開始届を提出する必要もあります。

図面と地図を持ち込み、消防署(予防課など)へ消防設備が必要か相談に行きます。

集合ビルなど大きな建物の場合、建物全体の設備として消防設備が設置されていることもあります。

建物の全体、店舗入り口、裏口や設置されている消防設備など写真撮影をして持っていくとスムーズです。

 

建築課へ飲食店の営業可能か確認しますが、建築基準法上のことはあまり教えてくれません。

新築の建物などは、事前に建築士へ相談しておきましょう。

用途地域の確認は都市計画課です。

風営法の申請が必要な場合、用途地域証明書が必要ですので、申請の前に取得しておきましょう。

 

相談内容の共有

事前の相談が終わったらお客さん、工事業者などと情報を共有しましょう。

居抜き物件であっても、現在の状態が許可要件を備えているとは限りません。

工事が必要な場合は、ここでしっかり共有しておきましょう。

 

申請と検査

工事が完了する直前に申請を行います。

保健所へは手数料が必要ですので、事前に料金を調べておきましょう。

申請書を提出後、それぞれの検査日を決めます。

店舗責任者の立会が必要となることが多いので、事前にスケジュールの調整をしておきましょう。

検査が終わり、問題が無ければ業務完了となります。

 

注意点

必ず、工事開始前に店舗の図面を作成して、保健所、消防署へ事前相談に行きましょう。

工事が終わった後に、この設備が必要だったから追加工事が発生したなどの事態になるのは避けましょう。

  • 管轄確認 – 市区町村によって申請様式や基準が微妙に異なる。必ず所轄保健所で最新書式を入手。
  • 図面不備 – 動線交差やシンク不足は再施工が必要になり、開業日が遅れる。
  • 申請タイミング – 内装完成の10~14日前には提出を完了しておくとスケジュールに余裕。
  • 井戸水利用 – 水質検査成績書の期限(採水から1年以内)に注意。

また、派生業務として、風営法の申請、深夜酒類提供飲食店開始届、たばこ販売業許可申請などが発生します。

風営法、深夜酒類の申請では、かなり正確な図面作成が求められますので、CADで図面作成ができるようにしておきましょう。

 

健康増進法の改正により、新規で営業許可を取得する際に喫煙可とするには、喫煙区画を分ける必要があります。

当然、追加工事が必要なこともあるため、事前に確認を行っておきましょう。

 

想定される客は?

飲食店営業許可を必要とする事業者は以下のとおりです。

  • レストラン・居酒屋・カフェなど店内で飲食物を提供する店舗
  • キッチンカーやケータリングなど移動型・訪問型で食品を提供する事業者
  • 惣菜・弁当・菓子などを製造し対面販売する小売店(※イートイン席の有無で許可区分が変わる)

 

どんな準備をしたらいい?

食品衛生法の知識はもちろんのことですが、図面作成の技術(特にCAD)を学びましょう。

また、店舗系申請業務には全て消防法の届出も必須ですので、消防法の知識も必要となります。

その他、都市計画法などの知識もある程度必須となります。

特に用途地域に関する知識は必ず身に着けてください。

 

まとめ

飲食店営業許可申請は、店舗の安全性と事業者の信用を支える最初の関門です。

行政書士は①事前相談での要件整理②書類作成の精度向上③現地調査前のチェックリスト活用によって、クライアントの開業スケジュールを守り、余計な改修コストを防げます。

最新のHACCP基準など新業態の動向を常にキャッチアップし、質の高いサービス提供につなげましょう。

 

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